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かぜに使われる漢方薬~葛根湯、小柴胡湯、柴胡桂枝湯~の使い分け

漢方薬とは東洋医学の考えの下に使用される、複数の生薬から構成されている薬のことです。いわゆる西洋薬とは違い、個々の症状に対応させて使用するのではなく、患者の症状や体質などの「証」を総合的に見て使用する方剤を決定していくところが特徴です。

漢方薬は“かぜ”のような急性疾患に対しても用いられてきました。中国後漢時代に張仲景が著したといわれる中医学の古典「傷寒論」には、主に急性疾患について書かれています。その中には証を決定するために必要な「六病位」の考え方が書かれています。六病位は、感染症などの急性疾患の進行具合をあらわしており、病の状態が進行する順に太陽病・少陽病・陽明病・太陰病・少陰病・厥陰病(けっちんびょう)にわかれています。

六病位の表

今回はこの六病位の太陽病期と少陽病期に使われる方剤のうち、伸和製薬で販売中の葛根湯(かっこんとう)・小柴胡湯(しょうさいことう)・柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)の使い分けについてご紹介します。

葛根湯の使い方

葛根湯は、六病位の太陽病期に用いられる漢方薬です。傷寒論には太陽病の条文として「脈浮、頭項強痛して悪寒す。」とあります。これは脈が浮いて頭痛がしたり、項(うなじ)がこわばったり、風にあたると震えるような状態を指します。この病期で用いられる漢方薬には、他に麻黄湯、桂枝湯などがあります。
葛根湯が向いている人は、体力が充実していて(実証)汗をかいていなく、頭痛や発熱、悪寒があり肩がこるような人です。汗をかいていて身体の痛みが強い場合は麻黄湯、汗をかいていなく体力が低下している場合は桂枝湯がよいでしょう。この病位はまだ症状が出始めた頃で、病が体の表面にあるため体の熱を上げ汗をかき外へ発散させることが漢方的な治療法です。葛根湯は体を温め汗を出し、病を体から追い出します。そのため、かぜの初期に使用することに適しています。

小柴胡湯と柴胡桂枝湯の使い分け

小柴胡湯と柴胡桂枝湯はともに少陽病期に用いられる漢方薬です。傷寒論には少陽病の条文として「口苦く、咽乾き、目眩(めくるめ)くなり」とあります。これは症状が出始めてから少し時間が経ち、病が体の外側と内側の中間の半表半裏(はんぴょうはんり)に侵入し、口が苦くのどが乾いてめまいがある状態です。また発熱と悪寒が交互に起きる往来寒熱、肋骨の下あたりが痛む胸脇苦満(きょうきょうくまん)、胃腸が弱って舌に白苔がつく、などの特徴が見られる場合があります。この病位では熱を中和して発散させる作用をもつ生薬の柴胡を含む方剤が主に用いられます。小柴胡湯も柴胡桂枝湯もこの柴胡を中心とした漢方薬です。いずれもかぜが長引いてきたときに適しています。

小柴胡湯はかぜが長引いて汗が出ず微熱が続いているのに加えて、脇腹からみぞおちにかけて苦しかったり(胸脇苦満)、食欲不振、倦怠感、口の苦みなどの特徴があったりする場合に使用するとよいでしょう。体力は中等度ぐらいの人が目安に使用します。
柴胡桂枝湯も小柴胡湯と同様の症状に使いますが、体力がやや低下していて発汗があり、腹痛や胃腸の不調がある人により向いているでしょう。

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