1. HOME
  2. お知らせ
  3. 連載コラム 漢方豆知識② 陰陽二元論

NEWS

お知らせ

連載コラム 漢方豆知識② 陰陽二元論

陰陽二元論と漢方薬

陰陽二元論というのは、万物を二つに分けて考えるという哲学思想です。おおまかに、陽には動的なもの、陰には静的なものがあてはまります。

日常的にも物事を2つの対立概念で取られることがよくあります。陰陽論で自然をとらえると、例えば「天」と「地」、「山」と「海」、「昼」と「夜」、「男」と「女」、「寒」と「熱」となり調和がとれています。片方だけでは成り立ちません。人も自然の一部のため陰陽論の概念で人体の機能をとらえることができます。陰と陽はいずれかが強すぎたり(偏盛)、弱すぎる(偏衰)状態は病気の原因となるため、均衡がとれていなければなりません。

中国の古典「傷寒論」もこの陰陽理論を基本骨格としています。「傷寒論」では急性の疾病の経過、状態をとらえるためにも陰陽理論が用いられています。
例えば、炎症・充血・発熱等の熱性の要素が強い状態を「陽証」、顔色が青白い・寒冷の状態を訴える等の要素が強い状態を「陰証」としてとらえ、それぞれにあった治療法を選択していきます。


漢方治療の場合も同様に症状を陰陽でわけてとらえることで、適切な漢方薬を選択していくことができます。「虚・実」「寒・熱」「表・裏」「上・下」「内・外」「臓・腑」…様々ありますが、なかでも「実」と「虚」を見分けることは特に重要です。

「実」の状態の特徴としては緊張性・充実性ということがあげられ、脈や筋肉の緊張がよいことや、発揚性などで判断できます。実と虚は全体としてだけでなく、局所的にも存在します。
実証に対しては、身体から余分なものを外に出す“瀉”の方向性をもつ漢方薬を使用することを考えます。
反対に「虚」の状態の特徴としては弛緩性・無力性ということがあげられ、筋肉や脈の緊張が弱く、軟らかなことなどで判断されます。虚証に対しては、身体に足りないものを補う“補” の方向性をもつ漢方薬を使用することを考えます。



方向性の異なる漢方薬を使用しても症状が思うように改善されない場合があります。漢方薬を使用する場合は専門の医師や薬剤師等に相談の上、自身の体質や症状に合ったものを選択することが大事なのです。

最新記事